2012年12月10日月曜日

福島安正

明治32年7月28日 福島安正の演説するところ列国均勢の…

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 福島安正が小倉に来て演説をしたのか、どこかでした演説の報告があったのかははっきりしないが、その内容は鴎外にとっても、「耳を傾くるに足るものあり」と感じる内容であったようだ。恐らく福島自身が見聞した内容を交え、今の西欧情勢を語ったものだったのであろう。

 福島安正は陸軍軍人で、単独で馬に乗って冬のシベリアを横断したことで知られている。ロシアが極東への物資輸送を考えシベリア鉄道の着工を行うとの情報を実際に見て確かめるという意図のある単騎行であり、諜報活動が目的であった。490日に及ぶ行程で得た様々な情報は、当時の軍部にとって非常に貴重な内容だったとされる。

 当時、極寒のシベリアを単独で横断したものなどはおらず、ロシアの各地では歓待されたりもしたようである。ベルリン、モスクワ、シベリア、ウラジオストックと約1万4千Kmを490日という時間をかけ、20頭以上の馬を乗り潰し敢行したという、とんでもない人物。今なら冒険家として紹介されても良い人物である。

 その単騎行からまだ6年程度しか経過していない時期の彼の話は、まだまだ新鮮だったであろう。ちなみにこの翌年の1900年(明治33年)4月には、陸軍少将として西部都督部(小倉)に赴任している。

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