2012年12月27日木曜日

水質検査

 鴎外はドイツ留学中に数箇所で勉強をしている。その一つがベルリン大学である。当時は細菌学の黎明期で、その世界的リーダーであったと思われるコッホの下で学んだわけである。同時期、北里柴三郎もその研究室に身を置いていた。

 鴎外に与えられた最初のテーマは、ベルリン下水道の細菌検査だった。その成果については分からないが、そこで身に着けた水質への問題意識はその後も鴎外の中に流れ続けたのだろう。小倉においても水質に関する公演をしたり、紫川の上流まで水質調査を行いに赴いたりしている。

 ベルリンで水質に関する研究をするおりには、当然その後小倉に赴任することになろうとは鴎外も思っていないだろう。しかし一人の人生を概観すると、無駄というものはなく、全てはどこかに関わっているものなのだろうと思う。今、此処、の一期一会が大切なる所以であろう。

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