2012年11月9日金曜日

舞子駅

 兵庫県明石の東に舞子駅がある。鴎外は、小倉へ赴任する途中6月18日の日記で、「軍医部長になるよりは、舞子駅駅長となる方がましであろう」というようなことを書いている。日記中、都落ちに対する悲嘆と取れるような記載があるのは、ここだけのようだ。

 わざわざ舞子駅などというのを出してきたのは、菅原道真が都落ちしていく際に、明石駅(駅家は厩のことらしい)駅長に対し、「一栄一落是春秋」と述べた故事を踏まえているとの説もあるようです。そういう事実があるのかもしれませんが、それなら鴎外もあっさり明石駅駅長と書けば良さそうなものだとも思います。

 たまたま舞子駅で、ここの駅長となるほうが師団軍医部長よりましだ、と思わせる心象風景が出現するような何かがあったのではないでしょうか。それが何かはわかりませんけれど。

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